マーチングの一般バンドに入るまでの流れと確認すべきこと
2月〜3月のこの時期、マーチングの一般バンドのリクルート期間がスタートします。
- 卒業を目前に控え、新たに始まる生活にワクワクする一方、マーチングを続けられるか不安な学生の皆さん
- 新たな生活にも慣れ、学生時代にしていたマーチングを再開するか悩んでいる社会人の皆さん
- 今までにない刺激を求め、マーチングという新たな挑戦をしようと思っているすべての皆さん
そんな皆さんに、マーチングの一般バンドに入るまでの流れと、その中で確認しておくべき点について詳しくお伝えしていきます。
ちなみに私は特定の一般バンドに所属していますが、できるだけ客観的な目線でお伝えします。
チェックリストをご活用ください
これからお伝えさせていただく確認しておくべき点がとても多いので、それらをまとめたリストを作成しました。
確認項目を一覧で見ていただけ、複数バンドを比較できるようなリストになっていますので、ぜひご活用ください。
入団を悩む上で持ってほしい考え方
それは どうやったらできるか というふうに考えてみてほしいということです。
何か新しいことをはじめる時、人は大きな変化を恐れ、今の環境や状態をできるだけ保ちたいと考えます。その結果として「○○だからできない」と考えてしまうのです。
これは現状維持バイアスという心理状態が自然と働いてしまうからです。そのためできない理由を探すことは、人にとって簡単なことなのです。
でも、新しいことをはじめようという前向きな時に、できない理由を考えるのはもったいない。
せっかくなので、これからお伝えする情報、そして見学に参加して手にした情報をもとに
どうやったらできるか
ぜひ、前向きに考えてみてください。
それでは、ここから練習の見学前・見学中・見学後に分けて、確認しておくべきことお伝えしていきます。
必ずこの順番である必要はありませんので、ご参考になればと思います。
見学前に確認すること
入団可能期間と見学可能日
まず、何はともあれ、いつからいつまでが入団可能な期間かを確認しましょう。
この期間を過ぎると、他の全てのことがクリアできても入団できません。
入団可能な期間は、バンドのホームページに掲載されていたり、SNSで発信されていると思いますが、遅くとも6月末、早ければ4月中に募集を締め切ることもあります。
しかし、メンバーの集まり具合により、一部の楽器のみ期間を延長することもあります。
初心者の受け入れ
もしあなたがマーチングや楽器、カラーガードを未経験なのであれば、初心者を受け入れているか確認をしましょう。
初心者歓迎のバンドが多いですが、時々経験者のみ募集されているバンドや、一部のパートが経験者のみといったケースがあります。
見学行ったはいいけど初心者はダメと言われたら意味がないので、必ず事前に確認しましょう。
クリアできたら見学希望の連絡をしよう
他にも色んな情報を事前に集めてもいいのですが、それによって腰が重くなって見学に行かない、みたいなことになったら本末転倒です。
他のことは行ってから聞ければいいので、最低限この2つがクリアできていれば、とにかく見学希望の連絡をしよう!
見学希望の連絡は大体が以下のどれかになると思います。
- バンドのホームページから問い合わせ
- TwitterなどのSNSから問い合わせ
- メンバー経由で問い合わせ
もしそのバンドにホームページがあって見学問い合わせがある場合、申し込み時にバンドが知りたい情報を入力することになると思うので、バンドにとっては1番ありがたい方法かもしれません。
「そんなメンドウな入力するぐらいなら見学行かない!」という方は、とりあえずSNSで「こんにちは!○月○日見学したいのですが可能でしょうか!」と送ってもいいのではないでしょうか。
とにもかくにも、まずは気軽に見学に行ってみましょう!
見学時に確認すること
練習のレベル
練習のレベルが自分に合っているかを確認します。
これは、スキルはもちろんですが、ご自身の生活スタイルによっても変わってきます。
そのあたりも踏まえて、数値化できる部分ではないのが難しいところですが、ざっくり3つに分類してみました。
※個人的見解なので、あくまで参考程度です。また、大会の結果=レベルの高さではありません。
ご自身だけで判断せず、積極的にバンドメンバーに相談してみましょう!
かなりハードなシーズンになると思いますが、やりきったときの達成感は他の比ではない!
時間の多くを練習に当てられるなら、ぜひチャレンジしてみよう!
- 公式練習はもちろん、パート練習も欠かさず参加できる
- 平日に個人練習に当てられる時間がたくさんある
- 他責(やらされている)を感じてしまうと、途端にしんどくなります
学業や仕事とうまく折り合いを付けて、練習の時間をとれる人!
フルコミットできないけど、少しチャレンジな生活を送りたい人向け!
初心者の人も、このあたりのバンドをオススメします。
- 公式練習やパート練習はほぼ全て参加できる。
- 平日の個人練習を数日実施できそう
- 一番長く続けられそうなレベルだと思います
学業や仕事が忙しく、公式練習以外ほとんど参加できない人向け!
ちゃんと練習時間を確保できるのであれば、①か②をオススメします。
- 公式練習だけはなんとか参加できる
- 平日の個人練習はあまりできない
- 演奏演技に対するチャレンジがないので、楽ですがモチベーションが保ちづらい
これらは、あくまで『ご自身の現在のスキルや状況と比較した相対的な判断』であり、『バンド自体のレベル』ではありません。
同じバンドであっても、人によっては①と感じる人もいれば②と感じる人もいます。
最終的には、ご自身で体験し、感じ、最大限の能力が発揮できると判断できるバンドに入団しましょう!
そして最後に
- できないこと・わからないことを放置しない
- 絶対に妥協しない・手を抜かない
これはどんなバンドに入っても絶対です。
少し重い話ですが、せっかく、ご自身の命と同等といえる時間、そしてその時間を使って得たお金を投資して活動していくのです。
『妥協する・手を抜く』ことほど時間とお金の無駄なことはありません。
厳しい言い方ですが、そうするぐらいなら入団されないほうがいいでしょう。
上で言ったように時間とお金の無駄ですし、バンドやメンバーにとっても失礼にあたります。
バンドやメンバーの雰囲気
これがご自身と合っていないにも関わらず、憧れや大会の順位、事前情報だけで入団してしまうと、その後はきっと地獄です。
練習中はもちろん、練習前・休憩中・練習後。
そのバンドメンバーの振る舞いや表情、見学者の方へのコミュニケーションのとり方など。
憧れや事前情報などに振り回されず、実際に見学して、ぜひご自身がフィーリングが合うと思うバンドを探し回ってみてください!
スケジュール
まず見学したバンドが出演する大会やイベントの日程を必ず確認しましょう。
出演イベントは全て参加必須が入団条件となっているバンドもあります。
また練習スケジュールについては、バンドによって
- 日曜のみ
- 土日祝全て
- 基本日曜のみで、大会前は土曜や祝日あり
といった様々なスケジュールがあります。
一般バンドにとって、スキルと同じかそれ以上に大切なことが、練習への参加率です。
学校行事や仕事・アルバイトなどが、度々練習日と重ならないか、必ず確認しましょう。
また、以下の時期に練習がどれぐらいあるかも合わせて確認します。
バンドによっては長期休暇を利用した合宿が設定されていることが多いです。
- ゴールデンウィーク
- お盆
- 年末年始
- 3連休/4連休
練習場所
練習場所については、主に以下を確認しましょう
- 普段練習している場所
- 県外で練習している場所と頻度(よく使っている体育館の場所)
- それぞれの練習場所までの移動手段
活動費用でもお伝えしますが、練習場所はそのまま交通費に直結し、これが意外と重くのしかかってきます。
バンドメンバーと車で乗り合わせて、交通費を割り勘で移動されているバンドもあるので、ぜひ確認しましょう。
活動費用
超重要確認事項です。
支払期限が定められていることがほとんどですが、バンドによっては支払いタイミングの相談が可能な場合もあります。
支払いの滞納なんてもってのほかです、お金にルーズな人は信用・信頼を失います。
必ず確認して、滞りなく支払いができるか確認しましょう。
一般バンドで活動するにあたって、主にバンドに支払うものは以下があります。
- 入団金
- 月々の活動費
- 楽器や衣装のレンタル費用
- 体育館練習での体育館利用費(活動費に含まれている場合もあります)
- 合宿費や遠征費、大会参加費
支払う時期はバンドによって違うと思いますが、複数の支払いが重なる時期が必ず出てきます。
その際に大金を支払う場合が出てきますので、その時期も確認しておくようにしましょう。
この他、バンドに支払うものではありませんが、活動する中で発生する支払いに以下があります。
これらが意外とバカにできません。
交通費については、ご自身が住んでいる地区に近いメンバーを探して、月にどれぐらいかかっているか聞いてみましょう!
- 練習場所までの往復の交通費
- 昼食代や練習時の飲み物代
- 楽器のメンテナンス用品の購入
- レンタル楽器の修理費用
レンタルの有無
バンドによって異なりますが、主に以下のようなものは、バンドからのレンタルが可能です。
- 管楽器
- トランペットやメロフォン、バリトンは有料。チューバは無料というケースが多い
- マウスピースやメンテナンスオイルなどは個人所有
- 打楽器
- 楽器そのものは無料というケースが多い
- ヘッドやスティック、鍵盤のマレットなどは、バンドにより個人所有かバンド所有に分かれる
- 手具
- フラッグはバンド所有、ライフル・セイバーは個人所有、というケースが多い
- グローブやシューズは個人所有
- 衣装
- 管楽器・打楽器の衣装はレンタルできることが多い
- カラーガードは毎年ショーテーマによって衣装が変わるため、購入しないといけないケースがほとんど
これもあくまで一例です。バンドによって異なりますので、必ずバンドに確認しましょう。
オーディションの有無
ドリル(コンテ)や楽器構成の関係上、人気のバンドやパートは、入団前後にオーディションを実施するケースがあります。
特にオーディションを実施されてるケースが多いセクションはバッテリーです。
オーディションに通過できなかった場合、入団できないということはないと思いますが、別の楽器へコンバート(移動)することになります。
オーディション前から通過できないことは考えたくありませんが、万が一コンバートになったとしても、そのバンドに入団したいか、は考えておいたほうがよいでしょう。
規約
ここまでの確認内容のほか、バンドごとに細かい取り決めを示した規約を用意しているバンドがあると思いますので、必ず確認しましょう。
バンドの活動方針やバンド長の考え
バンドによって活動方針は様々です。
- 全国大会でグランプリや上位入賞、全国大会への出場を目指している
- 大会には出場するが過度に結果を求めず、楽しく活動していくことを目指している
- 王道マーチングを求めるのか、変化を楽しむのか
- 依頼演奏やイベントへの参加を積極的にしている
これらの活動方針の根幹にあるのは バンド長がどういったバンドにしていきたいか という考え方だと思います。
見学に行った際にバンド長やそれに近い人がおられたら、ぜひ一度お話してみてください。
活動方針やバンド長の考え方に賛同できない・自分が目指したい方向とは違う場合、やはりあなた自身が積極的に活動できなくなるでしょう。
見学後に確認すること
前向きなら2回目の見学をしよう
見学して色々な情報を手にした結果、前向きに入団を検討したい場合は、必ず2回目の見学に行きましょう!
理由は
- 最初の見学はお互いに緊張していて、普段の姿や振る舞いができていないことがある
- 初めての見学で興奮冷めやらない状態では冷静な判断(後述のシミュレーションなど)ができない
からです。
バンドによっては2回以上の見学が入団の条件となっているバンドもあります。
入団後のシミュレーションをしよう
見学を終えたら必ずやってほしいのが、入団してからの1年間の生活のシミュレーションです。
この見通しが甘く、途中退団されてる方を何人も見てきました。
特に費用の支払いと練習参加率は入念に
特にバンドへの支払いを遅れることなくできそうか、しっかりと公式練習やパート練習に参加できるかは入念にシミュレーションしておきましょう。
- 支払い
- バンドへの年間の活動費用と月々の支払い
- 1回の練習に参加するためにかかる金額(交通費など)
- 収入
- アルバイトなどの収入
- 親からの援助
- バンド
- 練習や大会のスケジュール(公式練習以外のパート練習なども)
- ご自身
- 仕事や学校のスケジュール(大学なら試験期間も)
- アルバイトのスケジュール(学生なら)
特に大学生の場合、親からの支援が受けられないのであれば、頼みの綱はアルバイトです。
アルバイトをやりすぎて練習についていけない・精神的にしんどい、では本末転倒です。
楽観的なシミュレーションをすると痛い目にあうので、少し厳し目にシミュレーションしましょう。
とはいえ、一番はじめにお伝えしたように、あくまで考え方は どうすればできるか です。
全ての費用やスケジュールを出してみた結果「ちょっと難しいのでは?」となった時、じゃあ逆に「どの部分がどのようになれば入団できそうか」ぜひ前向きに考えてみて下さい!
複数のバンドを見学しよう
同じ地域のバンドであっても、バンドそれぞれの特色があります。
それこそ、これまでお伝えしてきたような確認項目です。
自分がマーチングをするのに、何を大切にしたいかをしっかり持った上で、複数のバンドを見学・比較しましょう。
バンド側にとって何の不都合もありません。遠慮なく複数のバンドを見学しましょう!
入団を決意したら
できるだけ早く入団する連絡をしよう
リクルート期間の一般バンドにとって、見学に来てくれた方からのご連絡ほど待ち遠しいものはありません。
リクルート期間終了までまだ時間はあるかもしれませんが、終了間際は見学者の方からの連絡が殺到しますし、連絡が遅れれば希望するパートが埋まってしまうかもしれません。
もし入団を決められたなら、ぜひ早めにご連絡をして差し上げてください!
断るバンドには必ず連絡しよう
入団の連絡と同じく、お断りするバンドにも、早く、そして必ず連絡するようにしましょう。
マーチング業界は狭い世界。
しかも同地区の複数バンドに見学に行っていたら、地区大会で顔を合わすこと必至です。
そして、一般バンドにとってはリクルートはバンド継続の死活問題でもあるため、『連絡がない=入団しない』とはなりずらく、期待を込めてバンドからお誘いの連絡が来るでしょう。
今後、変なわだかまりが残ったまま活動することにならないよう、誠意ある対応を心がけましょう。
様々な入団の悩みに対するたった一つの答え
練習のこと、お金のこと、楽器のこと….
様々な悩みについて、確認項目という形でお伝えさせていただいてきましたが、すべてに共通するたった一つの答えがあります。
それは
見学して 肌で感じ 考え 自分の意志で決断する
ということです。
バンドのホームページを見れば、日々の活動についての情報は得られるかもしれません。
より詳しいことはSNSの公式アカウントに質問すれば知れるかもしれません。
しかし、いくら文字で「アットホームなバンド」と言われようが、どんな楽しそうな写真や動画を見せられようが、『実際にあなた自身がそのバンドに中に立って演奏演技をする』という感覚を得ることはできません。
そして、悪だと言うつもりはありませんが、「友達がいるから」とか「練習メニューが楽そうだから」とか、自分の外側に理由を求めるのではなく、ご自身の内側にある感情・考え・意志を持って、入団する/しないを決断してください。
全ての項目が自分にとってクリアできているバンドは恐らくないでしょう。必ずどこか妥協しないといけない部分はでてきます。
なので、意見やアドバイスを求めることは積極的にやるべきだと思います。
しかし、バンドによって状況は様々です。同じバンドでも活動する年によっても違ってくるでしょう。
最終的には今後、自分がマーチングとどう関わっていきたいかをしっかり考え抜いた上で、入団するバンドを決めていってもらえたらと思っています。
以上になります。
だいぶ長くなってしまいました。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
私自身も、過去から現在にかけて、長い期間、一般バンドの運営に携わらせていただき、たくさんの見学者の方を迎い入れてきました。
そんな中で入団するための色んな悩みに触れ、今回こういった記事を書かせていただきました。
一般バンドの入団を検討している皆さん。
ぜひ、後悔のないよう、あなたに一番あったバンドに出会えるように頑張ってください!