マーチングとは?【特徴や魅力を紹介】
今までに、初めて会った人や友人に趣味を聞いたとき、こういう趣味の人はいませんでしたか?
マーチングをやっている
そして、あなたはマーチングが何か知っていますか?
マーチングプレイヤーの皆さん、初めて会った人や友人に趣味を聞かれて マーチング と答えたとき、相手はこうなりませんか?
ナニソレ?
最近ではテレビCMなどでも起用されつつあるものの、日本ではまだまだマイナーなマーチング。
そんなマーチングがどういったものなのかを解説します!
そしてマーチングプレイヤーの皆さん、もしマーチングを知らない人に出会ったら、とりあえずこのページを教えてあげてください。
マーチングの魅力、お伝えします!
マーチングとは『歩きながら楽器を演奏したりダンスしたりして観客を魅了する総合芸術』
マーチングプレイヤーの人が、マーチングを知らない人に「ナニソレ?」と聞かれたら、タイトルのまま答えましょう!
(「総合芸術」と言うのが恥ずかしいなら「活動」でもいいと思います)
マーチングは、主に以下の人たちがバンド(マーチングバンドと言います)を組んで、歩きながら楽器を演奏したり、ダンスをしたりすることで、観客を魅了する活動のことを言います。
- 管楽器奏者
- 打楽器奏者
- ダンサー(マーチングでの正式名称はカラーガードと言います)
- 指揮者(マーチングでの正式名称はドラムメジャーと言います)
マーチングは吹奏楽・オーケストラ・ビッグバンドといった演奏形態の一つ
マーチングというのは、演奏形態のジャンルの一つを指します。
なので、吹奏楽やオーケストラ、ビッグバンドといったものと同列のカテゴリになります。
しかし残念なことに、マーチングはよく「吹奏楽やオーケストラに比べて演奏が雑」だったり、「学芸会みたい」と言われたりします(なぜ学芸会みたいと言われるかは後ほど)
ただ、こういった指摘は見当違いで、先程お伝えしたように、マーチングあくまで演奏形態のジャンルの一つです。
ジャンルが違うということは、その活動自体の目的が違うため、そもそも同じ天秤にかけるものではないです。
- 吹奏楽やオーケストラなどの座奏系(座って演奏する形態)
- ひたすらに音楽の演奏を追求することで、観客を魅了する
(もちろん演奏の見せ方の追求もあります)
- ひたすらに音楽の演奏を追求することで、観客を魅了する
- マーチング
- 音楽の演奏と動きの調和を追求することで、観客を魅了する
もちろん、マーチングでも動きながらにして吹奏楽やオーケストラと同じレベルで演奏できるよう、日々鍛錬を行っており、演奏をおざなりにしているわけではありません。
『観客をどのようにして魅了させるか』
マーチングは、観ても聴いても楽しめるエンターテインメントであり、総合芸術なのです。
そんなマーチングですが、日本ではまだまだ認知されておらず、知ってる人もあまり多くありません。
一般の方にとって一番馴染みがあるのは、パレードではないでしょうか。
マーチングとパレードは違う?
パレードは、イベントやお祝い事があるときに、道路を封鎖してラッパや太鼓を演奏しながら行列をなして歩いてますよね。
ディズニーランドやUSJでも毎日のようにやっていますが、あれをイメージしてもらうのが一番わかりやすいですね。
パレードもマーチングのひとつです。
ただ、パレード"も" と言ったように、逆に言うとパレードだけがマーチングではありません。
パレード以外にどんなことをするの?
では、マーチングバンドはパレード以外にどんな活動をしているのでしょうか?
一つは、イベントなどのオープニングやイベント内での演奏です。
マラソンのオープニングファンファーレ、スポーツ大会の開会式、船の出港、◯◯コレクションでの演奏などです。
学生の吹奏楽部のような学生服やオーケストラの燕尾服とは違い、マーチングバンドでは一般的にそのバンド専用のユニフォームがあります。
そのユニフォームがイベントごとではとても映えるので、華やかなイベントにはうってつけです。
もう一つは、最初に少し書きましたが、テレビCM・有名アーティストのPVやライブのバックバンドとしての演奏です。
少し前ですが、リクナビのCMで複数のマーチングバンドが起用されました。
また、EXILEのライブ、AKB48のPV、パズドラのCMなどでも起用されています。
ちなみに、私が所属しているマーチングバンドでは、過去にflumpoolさんのライブのオープニング演奏にも参加させていただいた経験があります。
その時のバンドブログがこちら
最後は、マーチングを知らない人にとっては意外かもしれませんが、マーチングの大会に参加しています。
そして、このマーチングの大会参加を主な活動としているバンドが多いんじゃないかと思います。
マーチングには大会がある
マーチングの大会は、主催や目的によっていくつか種類があるのですが、より大規模に行われているのは屋内競技場(体育館やアリーナ)のフロアを利用したマーチングの大会です。
簡単に説明すると、体育館などの床に30m四方で5m間隔に『ポイント』と呼ばれるマークが設置されています。
プレイヤーたちは、そのポイントを基準に様々な図形を作りながら楽器の演奏を行うことで、音楽と動きの調和や技術を競い合う大会なのです。
県大会→地方大会と進み、最後の全国大会は埼玉スーパーアリーナや大阪城ホールで行われます。
(全国大会の会場は、参加する大会によって異なります)
これらの各種大会は年に一度ずつしか開催されません。
そして、大会で行う演奏(マーチング業界では ショー(Show)と言います)は約8分間です。
つまり、これらの大会に向けて、たった8分間のショーを1年かけて仕上げていくのです。
たったの8分間ですが、1バンド何十人、百何十人というプレイヤーたちが一糸乱れぬ動きをしながら演奏される音楽は、とてもエキサイティングでワクワクします!
マーチングの魅力
そんなマーチングですが、一体どんな魅力があるのでしょうか?
様々ありますが、観客視点とプレイヤー視点でいくつかあげたいと思います!
【観客】聴いて楽しい・観て楽しい
まず何より、音楽なので聴いて楽しいのはもちろん、観ても楽しめる という点です。
マーチングではドリルと呼ばれる様々な図形をメンバー全員で展開します。
ドリルは、ただ単に図形を作るだけじゃなく、音楽の雰囲気や音のタイミングに合った動きをすることで、音楽と動きの調和を作り、より観て楽しむことができるようになります。
例えば、ゆったりした静かな音楽のときは、ゆっくり曲線的な図形を作ったり、反対に激しい音楽のときは、素早くカクカクした図形を作るなど、音楽のシーンに合わせたドリルを展開していきます。
他にも機械をテーマにしたマーチングでは、プレイヤーがロボットになりきってロボットダンスをしたり、海をテーマにしたものであれば動きや旗で波を表現したりします。
映画がテーマなら、実際に映画に出てくるモノをプロップ(テーマを演出のための置物)として使うこともあります。
(このプロップが過度な使われ方をすると、時に「学芸会みたい」と批判されることも)
使われる音楽も様々で、クラシック音楽やJazz・ロック・J-Pop、映画やミュージカル・ゲーム・アニメなどのサントラ、各国の民族音楽などをマーチング向けにアレンジして演奏します。
【観客】通称『音の壁』
マーチングにも、他の音楽と同様に8分間のショーの中に盛り上がる部分がいくつかあります。
その中でも特に大きな盛り上がりポイントとなるのが終盤です。
ショーのクライマックスに向けて音楽と動きで盛り上がりを演出するのですが、その演出の一つにカンパニーフロントと呼ばれる演出があります。
カンパニーフロントとは、奏者が横一列になって大音量で演奏しながら、観客に向かって前進する演出です。
(場合によっては二列だったり形が違ったりします)
奏者が横一列で迫ってくるという形が壁みたいに見え、また最大音量の音楽が列の隙間なく演奏される姿から、『音の壁』と呼ばれることがあります。
これは吹奏楽やクラシックなどの他の演奏形態にはない、マーチングの特徴の一つです。
この『音の壁』は、いつ聴いても鳥肌が立ちます。それぐらい圧倒される演出ですね。
【観客】大会や演奏会がにぎやか
これも、他の演奏形態では少ない特徴です。
吹奏楽やクラシックでは、ホールを包み込む音楽を全身で受けることが楽しみの一つだと思います。
そのため、演奏中の話し声や物音は一切NGです。
しかし、マーチングでは演奏の最初と最後に拍手があるのはもちろん、大きな歓声があり、時には指笛があり、それらが演奏中に行われることも多くあります。
こういった応援や歓声は、マーチングの本場アメリカの大会で実際に行われていることから、日本のマーチングにおいても、そういった文化が浸透しているのだと思います。
なので、友達に誘われてマーチング見に来たけど、どうやって応援したらいいかわからない方。
まず、演奏が始まる前に思いっきり大きい声で「〇〇(友達の名前)、ファイトー!!!」と叫んであげてください。
演奏途中の拍手や歓声のタイミングがわからなければ、周りの観客ががやってるタイミングを見計らって、どうぞ思いっきりやってください。
ただ、そんなにぎやかでもやはりそこは演奏会、最低限のマナーはあります。
演奏中に演奏とは関係ないお話をしたり、立ち歩いたりはやめましょう。
また、どこにどのバンドの応援の方がいらっしゃるかわかりませんので、その演奏に関してだったとしても、ネガティブな話(「ココがダメ、アレがダメ」のような)はマナー違反ですので、注意してください。
あと、応援や歓声とは別ですが、マナーに関連して、マーチングの大会の多くは演奏中の録音や録画、写真の撮影が禁止されています。
会場でもアナウンスはされているのですが、初めて大会を観戦される方では知らない場合も多いので、ご注意ください。
【プレイヤー】1年かけて1つのショーを作り上げる達成感
先程も書きましたが、プレイヤーは約8分間のショーを1年間かけて作り上げていきます。
一般の社会人バンドなら週に1〜2度、学生の部活であればほぼ毎日、暑い日も寒い日も、同じ仲間と一つの目標に向かって作り上げたショーを観客に披露する。そして、多くの観客からの歓声を浴びる。
これほどの達成感はなかなか味わえません。
色々大変なことやプレイヤー同士の衝突もあるかもしれません。
しかし、そんな混乱期を乗り越えてこそ、本当の仲間として、本当のマーチングプレイヤーとして、観客を魅了するマーチングができると思っています。
【プレイヤー】本場アメリカのバンドオーディションにチャレンジできる
マーチングの本場はアメリカです。
アメリカでは6月〜8月の約3ヶ月という期間、アメリカ全土で行われる大規模なマーチングの世界大会が行われています(Drum Corps International 通称DCI)
そんな世界大会に出場しているアメリカのバンドに、オーディションを乗り越えて参加を目指している日本のマーチングプレイヤーもいます。
なぜ、日本のマーチングプレイヤーが参加を目指しているのか。理由は2つあります。
一つは、本場アメリカの世界大会に出場しているバンドで、自分自身をレベルアップしたい、ずっと憧れていたバンドで演奏したい、といった自分自身の気持ちの面での理由です。
そしてもう一つは、DCIの参加資格が22歳までと決まっているためです。
DCIは、青少年育成という教育的な観点から開催されていることもあり、参加資格が22歳までと決まっています。
日本でいうとおよそ大学卒業までです。
アメリカの新学期(後期)がおよそ8月か9月に始まるのに対し、日本の後期の始まりは10月です。
つまり、日本から参加する場合、前期の6月〜8月は学校にいけないことになります。
日本の高校で6月〜8月を丸々休むというのは、なかなかハードルが高いです。
そんな理由から、日本からDCIに参加できるのは、実質、高校卒業後〜大学卒業までの4年間。つまりチャンスは4回しかないということになります。
(細かな参加ルールにより、3回しかチャンスがない人もいます)
22歳を超えてしまうと、ルール変更がない限り、どれだけ演奏がうまかろうが一生参加することはできません。
そんなこともあり、特定の時期にしか参加できないDCIには、フリーターや大学を休学して参加する人も多くいます。
参加してお金がもらえるわけでもなければ、それらの経験を活かしてマーチングで食べていける人は一握りです。
それでも参加する人が後をたたないのは、その時期にそれを経験するだけの価値があるからだと思います。
私も実際に大学を休学して4回中2回参加しましたが、ともに他には代えがたい経験ができましたし、休学しましたが、全く後悔はしていません。
【プレイヤー】大会や演奏会がにぎやか
観客側でも書きましたが、間違いではありません。
マーチングに限りませんが、自分の行動に対して、相手からポジティブなフィードバックが返ってきたら嬉しくありませんか?
マーチングも同じです。
マーチングを始めたばかりの人は、演奏することに必死になってしまうことが多いですが、少し余裕が持て、観客の反応(歓声など)を受け止めることができるようになると、演奏中ながら俄然やる気がみなぎってきます。テンション爆上がりです。
だから、観客の皆さん、ぜひプレイヤーを大きな歓声で応援してください!
そしてプレイヤーの皆さん、観客の皆さんを沸かせられるような、アツいショーをぶちかましましょう!
マーチングのここが大変
マーチングについて、自分が中学からずっと続けていることもあり、良いことばかり書いてきましたが、もちろんそれだけではありません。
観客にとってもプレイヤーにとっても、マーチングが大変だと思うことはたくさんあります。
その中でも特にわかりやすい大変さを観客側とプレイヤー側で1つずつご紹介します。
【観客】目当てのプレイヤーを探すのが一苦労
マーチングでは、基本的にダンサーを除く楽器奏者全員が同じ衣装を着ています。
そして、最近少し減ってきましたが、楽器奏者全員が同じ帽子をかぶっています。
(フロア前方で動かずに木琴などを演奏している人は被っていないことが多いですが)
そして、観客の皆さんは体育館やアリーナの観客席からご覧になることになります。
つまり、誰が誰か、どこにいるのかわかりません。
しかも、フロアを縦横無尽に駆け回る、入れ代わり立ち代わりで色んな図が展開され、人が交錯する。
経験者でも目的の人を見つけ、目で追いかけるのは一苦労なので、慣れない人は本当にわからなくなります。
なので、マーチングを見慣れていない友達に演奏を見に来てもらった感想を聞くと、こういうことはありがちです。
めっちゃ良かったよ!
途中で見失って、あなたがどこいったかわからへんくなったけど
【プレイヤー】夏と冬の練習が過酷
一部、空調の効いた体育館で練習されているバンドもありますが、本当にまれ。
ほとんどのバンドは、空調の効かない体育館や外で練習することになります。
つまり、夏と冬が地獄。
夏はとにかく暑い、もとい熱い。
直射日光、地面や楽器からの照り返し、湿気。
体育館での練習は外に音がもれないように窓を閉め切る。
蒸し風呂状態の中、ひたすら動き回って練習します。
マーチングのオンシーズン(大会時期)は8月末あたりからなので、それまではひたすら練習の日々。
そして冬。寒い、痛い。
管楽器奏者は楽器が氷のように冷たく、演奏中ずっと唇に氷を当てているような状態。
打楽器奏者やダンサーは、スティックや旗などを持つために手袋ができないので素手。
あと、天気でいうと雷がとても危険視されています。特に管楽器奏者。
金管楽器はその名の通り金属でできているため、外で練習する場合、少なくとも30m四方に高い建物がない状態で行うマーチングにおいて、管楽器奏者は避雷針になりかねません。
時折、雨でも練習を続行することはありますが、雷がなり始めたら即中止→退散です。命がけ。
いかがでしたか?
マーチングの魅力、伝わりましたでしょうか?
最後にネガティブなことを書き連ねてしまいました(反省)
ハッキリ言うとマーチングは、趣味とするには結構大変な部類に入るんじゃないかと思います。
しかし、一方でそういった苦難をバンドメンバー全員で乗り越えるからこそ、本当の仲間として結束が固まり、素晴らしい演奏演技ができるんじゃないかと思っています。
今日、マーチングがどんなものか知ってくださった方。
ご友人やお知り合いにマーチングをやっている方がいれば、ぜひ応援していただければ幸いです。
そして、全国のマーチングプレイヤーの皆さん。
もっともっと日本でマーチングが普及して、色んなところでマーチングを見聞きできるように、マーチング業界をさらに盛り上げていきましょう!